クリスマス(聖劇)

11月に入ると、年長クラスでは「イエス様のお誕生を皆で思い出し、聖劇でお祝いしよう」という話し合いをします。そこから約1カ月かけて聖劇の練習をします。

『練習』といっても、練習時間を特別に設けたりする事はしません。平和の園保育園では、子ども達の普段の生活を一番大切に考えていますから、午後の一斉活動の時間(13:30~14:30)のみで練習を進めていきます。毎日の生活の流れを崩すことなく、行事に取り組むのです。

また、練習開始~本番までの子ども達の心の動きや成長、つまり本番までの過程を一番大切に考えています。

練習のやり方は、大人が役をやって見せ、やりたい人は前に出て大人と一緒にやってみるというやり方をしますが『誰がどの役をやっても良い、何人前に出てきても良い、何度でもやって良い』という練習期間を経て、役決めの期間に入っていきます。

役決めでは、周りに左右されないよう担任が一人ずつこっそりと希望する役を聞いたり、希望者が多数いる役と誰もいない役が出た時は、子ども達自身がどうすべきかを考えられるような投げかけをしたり、と心をつかう機会をたくさん与えます。

子ども達は心と体をたくさんつかって「この役がいないとイエス様は生まれてこない。だから、僕がこの役をやる。」と決めたり、普段の自分の行い・お友達の良い所を振り返り「私じゃなくて○○ちゃんの方が、この役にピッタリだと思う。私はこの役を○○ちゃんにお願いしようと思う・・・」このように役決めの期間を過ごします。ここでの子ども達の心の成長が、平和の園保育園で聖劇をする大きな目的なのです。

大人は子ども達が心をつかえるような配慮はしますが、最終決定は子ども自身がするよう見守ります。一番大切なところに、大人が手を出してはいけないのです。

配役が決定すると、皆で円になって椅子に座り『配役発表』をします。担任が役名と決まった人の名前を呼ぶと、その人は「はい!」と返事をして立ち上がります。すると自然と「決まって良かったね」「ピッタリの役だね」「頑張ってね」という気持ちがこもった、あたたかい拍手が湧き起ります。そして、最後に担任からは「どの役も、みんな大切な役です。一人でもいなかったら、イエス様は生まれてこなかったんだよ。この聖劇は、ここにいる全員が主役です」という話をします。

子ども達はそれぞれにピッタリな役を心を込めて精一杯練習し、仲間と共に心を一つにして聖劇に臨みます。

毎年、様々なことが起こる聖劇ですが、私達大人も子ども達から学ぶことがたくさんある大切な行事となっています。

(「50年の歩み」50周年記念誌)